活動報告

コロナ禍で生活と研究に深刻な影響

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2020.08.13

―院生アンケート中間報告発表―

会見で報告する梅垣議長

 2020年8月11日、全院協は国会内で記者会見を行い、2020年度大学院生の研究・生活実態に関するアンケート調査の中間報告を発表しました。6月1日から7月22日までにウェブ調査を通して寄せられた全国の大学院生600人分(118校)の回答を分析したものです。文科省や政党・文教関係の国会議員などに届けるとともに、秋の省庁要請に向けた政策要求作りに活用します。

中間報告の主な内容

おおまかな傾向

  • 収入減少など生活・経済状況の悪化は、男性より女性、国立大学法人より公立大学や私立大学、今年大学院に入学したM1の大学院生により顕著にみられる。
  • 研究をめぐる環境や条件の困難は、学位論文を仕上げる必要のあるM2や博士課程の大学院生により顕著にみられており、その内容も、学系ごとに切実なものである。すなわち、人文社会科学系であれば図書館の使用制限、自然科学系であれば実験ができないというものである。
  • 大学院生が収入を依存してきたアルバイトが、コロナ禍によって大幅な減少もしくは消失(つまり解雇)を余儀なくされているものの、これに代わる収入源は政策的には何も用意されていない。

1.コロナ禍による経済状況の悪化は大学院生全体に深刻な影響

半数以上の大学院生が、収入が減少したかまたは無収入に
  • コロナ禍によって収入が「減少した」と回答した大学院生が42.7%、「無収入になった」と答えた大学院生が10.4%を占めた。
  • 約4割の大学院生が、コロナ禍で生活や研究を維持するための追加収入として1か月あたり10万円以上が必要と回答。
  • コロナ禍による収入減少の生活や研究の影響は、「食費など生活費を削っている(37.3%)」、「研究の資料・書籍を購入できない(35.4%)」、「調査・フィールドワークに行けない(33.2%)」など。
オンライン授業や図書館休館のために支出も増加
  • 47.7%の大学院生がコロナ禍で緊急に支出が生じたと回答し、その中で26.3%以上が5万円以上と回答。
  • 上記の使い道としては、オンライン授業に伴うWi-Fiなど機器の整備や通信環境の整備、図書館休館による文献や資料の購入など。
ただでさえ脆弱な収入構造がコロナ禍で打撃
  • 約4割の大学院生が、解雇や休業に伴い労働時間が減少したかなくなったと回答。そのうち休業補償をうけられたのは35%程度にとどまる。
  • 日本学生支援機構の緊急・応急奨学金に申請した大学院生はわずか3.2%。借金になるから、が申請しなかった理由の最多(50.7%)。
  • 解雇や休業により労働時間が減少もしくはなくなったと回答した大学院生の過半数が1か月あたり10万円以上の追加収入が必要と回答。

2.コロナ禍に伴う大学閉鎖などにあえぐ大学院生

図書館や実験施設など、キャンパスが研究に重大な意義を持つことがあらわに
  • キャンパスへのアクセスが困難になったころによる研究への影響としては、図書館の資料・文献を利用できないが71.0%と最多。
  • 学系別にみると、人文社会科学系は図書館の利用制限、自然科学系は実験ができなくなった、学会報告ができなくなったなど切実な影響が。
  • 博士論文や将来研究者として認められるに必要な業績を積まなければならない博士課程が、より研究への影響を感じている。
キャンパスへのアクセス困難はマイノリティにしわ寄せ
  • 女性や、その他の性的志向、性自認を持つ大学院生は親族など同居人との関係悪化、心身への不調などがより顕著にみられる。
コロナ禍による困難が集積している外国人留学大学院生
  • 留学生は食費を始めとした生活費、家賃、授業料など、支出に関する困難をより多く抱え、また心身に不調をきたしている。
  • 留学生は明らかに解雇が多く、また休業補償を受けられている割合が低い。

3.コロナ禍中も、コロナ禍後も、生活保障と研究条件確保の両立を

貸し付けよりも給付を、せめて学部生と同等の支援を
  • コロナ禍において求めたい施策として、学部生と同水準の授業料減免・給付奨学金が66.6%と最多を占め、次に大学図書館等の開館条件の整備が53.9%となった。
  • 所属する大学院に求める施策としては、現金の貸し付けより給付への支持が集まり、最も回答が多かったのは図書館の漸次開館ないしは所蔵資料の郵送などによる代替措置だった(42.3%)。

4.その他の要点として自由記述より寄せられた声(略)

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