全院協ニュース

全院協ニュース第245号を発刊しました

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2015.07.25

目次

  • 新旧役員挨拶
  • 全院協とは
  • シリーズ大学院生と大学院を取り巻く情勢――「国公立大学への国旗国歌『要請』について」
  • 院生自治会・院生協議会紹介
  • 2015年度大学院生の研究・生活実態に関するアンケート調査
  • 2015年度第1回理事校会議の報告
  • 編集後記

新旧役員挨拶

2015年度議長挨拶

 私が、北海道の片田舎から上京してきたのは2009年のことなので、それからもう6年が経ってしまった。今から思い返すと、経済的理由によって両親に反対され、そしてそれを押し切るという形での進学になってしまった。そういった背景もあって、大学に入ってから今に至るまで、アルバイトをしたり、奨学金を借りたりを継続している。

 多くの先進国において、教育期間が長くなるとともに、高等教育に必要な費用が高騰している。日本もその例外ではなく、 その多くを私費負担によってまかなっている。 2012年に日本は国際人権A規約第13条2項(c)を留保撤回し、漸進的無償化によって高等教育の機会均等を目指すこととしたはず だが、その精神の実現にはまだ遠い。他国に目を向けてみると 、高等教育の無償化の実現に力を入れ てい る国は多く、 OECD 加盟国の中では半分が学費を無償にしている。 日本には存在しない給付型の奨学金も、殆どの国にて 実現して いる。

 全院協のアン ケートでは、毎年多くの大学院生がアルバイトによって研究に支障を感じていること、そして多くの大学院生が奨学金による借金に不安を感じていることが明らかになっている。願わくば、生まれ た世帯の年収によって、受けられる教育に格差が生じてしまってほしくない。親の反対を押し切る必要もなく、大学で学びたいことを学べるようになってほしい。アルバ イトではなく、学業や研究に専念 し てい たい。しかし私 1 人がそれを叫んだところで変わるようなものではありえない。では10人だったら。 100人だったら、 1000人だったらどうだろう。一人ひとりのつぶやきを、いかに「たくさんの院生のこえ」としていくか。私が全国大学院生協議会(以下、全院協)に関わっているのはそれが根源にある。

 このような話を耳にしたことがあるだろうか。ある高校で、まず先生が教壇に立ち、生徒それぞれに一枚ずつの紙を渡した。先生は生徒にその紙を丸めるように指示して、そして教壇の近くにゴミ箱を置いた。先生はこう言った。「これからゲームを行う。丸めた紙を、自分の座っている席からゴミ箱に入れるんだ。」と。後ろの方の席に座っている生徒は不公平を訴え、実際、前の方の席に座った生徒のみが紙をゴ ミ箱に入れることに 成功した。そして先生はこう言った。「このルールに関して不公平を主張し たのは後ろの席に座っていた人たちだけだったね。」

 私達の研究はただの競争ではなく、他の研究を参考にし、論文を読み、相互に発展させ合うものである。大学院生一人ひとりがしっかり研究できるということは、その研究領域全体を発展させることに資するものだと思う。私は大学院生一人ひとりが、力を出し合い、知恵を出し合い、声を出しあうことで、より良い大学を形作っていくことができたら、本当に嬉しく思います。一年間、よろしくお願いします。

2015年度全国大学院生協議会議長 藤村治

前年度議長退任挨拶

 いやまいったね。

 引き継ぎということで、晴れて老兵は引退とあいなりました。 1 年間の間、全院協に関わってくださったみなさま、ご利用ありがとうございました。またのご利用、従業員一同お待ちしております☆

 まあそんなキレイゴトはおいといてだね、明智君。先日、日本科学者会議 ( の主催の「女性研究者・技術者全国シンポジウム」にて、全院協から私が報告をしたので、そのことを少し。

 前半ではみなさまにご回答いただいたアンケートを基に、学費・奨学金・就職難など基本的な問題項を話し、後半では女性研究者の問題として、例えば結婚・育児による研究の困難であるとか女性院生への差別意識の話について、知る限りでの実態を報告した。当初 100 人であった参加予定者は 110 人を超え、カンパもこれまでにないくらいいただいた。大会実行委員会の方からもご連絡いただいた通り、成功と言ってよいのだと思う。

 ただ、僕個人は成功だとは思っていない。あのイベントに参加した、あるいはこの文章を読んでいるあなたが、たとえどんなに 拙くとも、たとえどんなに主観的にすぎなくとも、自身のことを語り、自身の日常をめぐる自明性を他者との関係のなかで解きほぐし、そして「運動」に何かしらの形でかかわるに至ったとき、それこそがこのイベントの成功ではないのか。

 私たちは、自分を縛り付けるすべてのものから解放され、ありのままで生きたいと思いながらも、ありのままで生きることを許さないこの社会の「強さ」を知っている。この狭間で煩悶しながら、それでいて同時に、この社会をあたかも外在的にまなざしながらも、それでいてこの社会の内部でしか生きられないということもま た、知っている。私たちはこの苦しみを乗り越えることができるのか。私たちはひとつになることができるのか。

 えっ、「なーに難しいこと言ってんのよ」って?

 いやまいったね。

2014年度全国大学院生協議会議長 佐藤和宏

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