活動報告

「奨学金の会」として文科省に新型コロナ対策緊急要請―大学院生への不十分さ露わに

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2020.04.10

 4月10日、全院協も加盟する「国民のための奨学金制度の拡充をめざし、無償教育をすすめる会」(以下「奨学金の会」)が主催して、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う様々な経済的影響によって憲法26条に規定された学習権が毀損されないための緊急の支援策を求める要請行動が文部科学省にて行われました。要請全体は初等・中等教育から大学院生を含む高等教育まで幅広く含む内容でしたが、全院協としては、大学院生を含めた給付奨学金の実施や、海外学振の採用者に柔軟に支給継続する措置、授業がオンラインになったことによる経済的負担を緩和する対策などの要望を盛り込みました。

文科省に大学院生への緊急対策を要求する全院協代表

 特に給付奨学金は、修学支援新制度に基づく家計急変時の給付奨学金が大学院生を対象としていないことなどから、大学院生がその権利としての高等教育受ける機会を大きく毀損される恐れがあり、その点を文科省担当者に問う形となりました。文科省担当者は、修学支援新制度はもとより住民税非課税世帯を始めとした低所得者世帯に絞って、他とのバランスも踏まえて支援を行うものであり、大学院生をその対象としていないのもそうした世帯の大学進学率を優先する趣旨からのものであると述べ、現状では新型コロナウイルスの影響によって家計が急変した場合についても大学院生には給付的な措置をとる予定はないことを明言しました。ただし、各大学における独自の授業料減免については、もとより院生と学部生を分けたものではないため、これに予算措置をすることで院生が一定授業料の減免を受けられるような対策となる旨の説明がありました。

 こうした発言は、大学院生が相対的に高所得な世帯からのみ進学をし、またその学費が本人ではなく出身世帯によって負担されるモデルを前提としており、自立し自ら学費を支弁して研究する苦しい立場に置かれた院生の生活をまったく無視するものに他なりません。また、今回の新型コロナウイルスの感染拡大による経済的影響は多くの中所得層にも及んでおり、本人ではなく親などが主に学費を負担している場合にも、その負担は減少した世帯収入に重くのしかかるのは間違いありません。

 こうしたことから、現状の補正予算における院生などへの支援では、新型コロナウイルスの感染拡大によって収入が減った院生や支出が増えた院生、調査や実験が困難になるなど研究への直接的な影響大きな影響があった院生が研究を継続するうえで不十分な水準となっています。最低限学部生なみの支援、場合によってはそれ以上の支援がなければ、大学で教育を受け、自身の研究を遂行し、また場合によっては教育を行う存在である大学院生がその生活を維持できず、日本で積み上げられてきた学術研究の基盤が大きく損なわれ、取り返しのつかない負の影響が残り続けることになります。全院協としては今後も、奨学金の会などをはじめ関係団体と連携しながら、大学院生への支援策が充実するよう関係省庁及び国会議員等に働きかけを行う方針です。

緊急要望書を手交

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