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2014.07.20
「いやまいったね」
くりいむしちゅーのオールナイトニッポンで、番組冒頭での有田哲平の口癖が「いやまいったね」であった。高等教育の現状を見るにつけ、ついついこの言葉が口をついて出てしまう。最近よく 思うのだが、大学院生は話したり書いたりするのが仕事なもので、どこかで「言葉は伝わるものだ」と思ってしまっている。だけど他方、どこかで「言葉は伝わらないものだ」とも分かってしまっている。このはざまで煩悶しながら私たちは言葉を紡がなければならなくて、読んでくれているあなたにこの言葉が伝わるように、私はこうして文章を書いているわけだ。
個人的なことを書こうと思う。全国大学院生協議会以下、全院協 に関わって、もう 2 年が経つ。いま博士課程 1 年の私は、修士 1 年のときに事務局を務め、修士 2 年のときは事務局でがんばってい るみなさんを生暖かい目で見守り、それで全院協からはさらばと思いきや、どういうわけか議長になってしまった。しかしそれは、単なる偶然ではない。 2 年前の屈辱こそ、今の私を生かしているからである。
2012年9月、日本政府は長年留保し続けていた国際人権規約 13 条 2 項 ( を留保撤回し、高等教育の漸進的無償化を国際社会および日本社会にいる人びとに誓った。全院協は夏には大学院生へのアンケートを行ってそれを報告書としてまとめ、秋にはそれをエビデンスとして文科/財務への省庁・政党・議員要請を行うことになっている。国際人権規 約の留保撤回は、私たち大学院生にとっての追い風になるものだと思い、私は要請に向かった。
しかし、である。文科省の答えは、一言で言えば「お金がありません」だった。学費無償化については優秀な人だけが減免・無償になればよい、奨学金の有利子化傾向への歯止めと給付制奨学金創設については前者は利用したい人が利用できているし後者についてはお金がないからやらない、就職問題については大学や研究機関は既に法人化されたので各法人に任せている、という答えであった。いきおい、それら学費・奨学金・雇用問題を解決する実質的基盤としての教育財政の抜本的拡大など、望むべくもなかった。恥ずかしながら、おそらくもう一生ないだろうなというくらい、私は泣いた。こんなに言葉は伝わらないものなのか。私たち大学院生の要求は絶対にかなわないものなのか。私たちは人間として認められていないのか。
そういうわけで、私が全院協に関わっている。しかし、私がひとりで現状を嘆いたってどうにもならないことも分かっている。だから私は言葉を紡ぐ。あなたに言葉を伝えるために、あなたが言葉を伝えるために、つまり私たちが言葉を紡ぐために、私たちが生きるために。
「気が狂いそう」と「 ガンバレ」を一緒に言える、それがロックだ、と大谷ノブ彦はブルーハーツを引きながら言っていた。私は「いやまいったね」と「まあそれでも生きていきましょうや」を一緒に言える人間でありたい。そろそろ文章が終わるわけですが、私の言葉、読んでくれているあなたに伝わりましたかね?伝わってないか、いやまいったね。あなたと会って、あなたがやっている研究や、あなたが大学院生として考えていることや、私が話した言葉について思ったこととか、つまり生きているってことを、ともに話し合える日がくることを楽しみにしています。
2014年度全国大学院生協議会議長 佐藤和宏
2013年度の全院協議長を務めさせていただきました、一橋大学博士課程の内海咲と申します。加盟校、オブザーバー校の皆さま、一年間活動を支えていただきまして、誠にありがとうございました。 2013年度は、①全院協の活動の大きな柱である省庁員要請に説得力を持たせるために、アンケートを1000部回収すること、②省庁要請においてアンケート結果や参加者の生の声をもとに大学院生の実態を伝えることを活動の柱にし、活動を進めて参りました。
結果として、アンケートについては目標の1000部には届かなかったものの、過去最高の799部を回収することができ、省庁要請の場でも、アンケート結果をもとに大学院生の実態を伝えるのみならず、留学生をはじめ多くの大学院生の生の声を届けることができました。これらの成果は、加盟校、オブザーバー校のみなさまのご協力のおかげです。本当にありがとうございました。
また、継続的な運動に関わることが初めてだった私が、議長という大役を最後まで続けられたのは多くの方々の支えがあったからです。この場をお借りして、感謝の意を表したいと思います。本当にあ りがとうございました。
以上をもって、2013 年度議長の退任挨拶に代えさせていただきます。これからも全院協の活動を陰ながら支えていきたいと思っております。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
2013年度全国大学院生協議会議長 内海咲