声明・談話

報復戦争と自衛隊派兵に反対する声明

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2001.10.28

全国大学院生協議会

 9月11日に米国で発生した同時多発テロ事件は、一瞬にして数千名の生命を無差別に奪い、世界中を震撼させた。私たちは、犠牲になられた方々とご遺族に心からの哀悼の意を表するとともに、テロ行為そのものと実行犯を厳しく非難する。

 10月7日に開始された、米英両国によるアフガニスタンへの報復攻撃では、「軍事施設に対する限定的攻撃」という米国政府の攻撃前の説明とは裏腹に、病院やNGO施設、モスクなどの民間施設も「誤爆」され、正確な人数は不明なもののかなり多数の罪無き民間人犠牲者が出ていると報道されている。クラスター爆弾に代表される非人道的兵器によって子どもの犠牲者も多数でており、決して「限定的攻撃」には留まっていない。

 アフガニスタンには、20年以上にわたる内線と、旧ソ連の軍事介入の結果、数百万人の難民がおり、今回の報復戦争によって、さらに百万人単位の難民を生みだすことが懸念されている。すでに、アフガニスタンからパキスタンへの避難を求めて、おびただしい数の難民が国境地帯に集結していると報道されている。戦争は、民間人への多大な犠牲を強いることが改めて明らかになっている。

 今回のテロ事件のような国際犯罪に対しては、国連憲章の精神や国際的な司法的手続きに照らして容疑者が裁かれるべきである。また、国連が中心的役割を発揮して、国際的な協調の下に平和的解決の努力をするべきである。平和憲法をもつわが国は、本来ならば平和的解決のイニシアチブを果たすべきところである。

 ところが日本政府は、この戦争に「テロ根絶」の名を借りて参戦しようとしている。「テロ対策特別措置法案」を十分な審議も経ないまま成立させ、現にアフガニスタンで米軍が行なっている報復戦争に自衛隊を派兵しようとしているのである。この法案は、米軍の戦争に対して、自衛隊による輸送・補給・医療などの「後方支援」活動と、その任務遂行上必要な場合の武器使用を可能とする。これらの「後方支援」活動は、米軍による作戦と戦闘行為の一環をなすもので、明白な「武力行使」の一部をなすものである。報復戦争に加担する今回の法案は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という日本国憲法第9条の戦争放棄の原則を著しく踏みにじるものである。私たちは、報復戦争への参戦がテロ根絶に役立たないばかりか、問題解決をかえって困難にするものであると同時に、なし崩し的な憲法改悪に道を開く動きとして危機感をいだくものである。

 平和であることは、学問を行なう上での前提条件である。かつての第二次世界大戦では、学問の自由が奪われ、学業半ばの学生がペンを銃に持ち替えさせられて戦場に駆出された。この過ちは二度と繰り返してはならない。

 10月23日の毎日新聞大阪版は、7割の大学院生が報服戦争に反対し、6割の学生が自衛隊派兵のための新法に反対を表明している、と大阪大学大学院生有志を中心とする対話・アンケート活動の集計結果を報道している。これは、大学院生の平和への強い意識の反映である。

 私たち全国大学院生協議会は、平和であってこそ学問に専念できることの意義を再認識し、報服戦争の中止と、自衛隊を派兵させるための「テロ対策特別措置法」の廃案を強く要求するものである。

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